●企業型DCの自動移管者が 72 万人超える 厚生労働省は昨年 12 月2日、企業型確定拠出年金(企業型DC)の資格喪失者に占める自動移管者の割合を公表しました。資格喪失者の5割以上が自動移管者となっている事業所が全体の3割超(32 %)を占めました。転職等により企業型DCの加入者が資格喪失した際に、転職先への資産移管などの手続きをせず、資産が国民年金基金連合会に移管される「自動移管者」は、同省によると 72 万人を超えています(令和5年度末時点)。報告を受けた社会保障審議会企業年金・個人年金部会では、資格喪失者が資産形成を継続できるよう、事業主の説明義務の強化などを求める意見が相次ぎました。 ●事業主に選択制DB加入による影響の説明求める 厚生労働省は昨年 12 月2日、確定給付企業年金(DB)への加入を従業員が選択できるいわゆる「選択制DB」について、事業主が従業員に社会保険・雇用保険等の給付額への影響等を説明するよう求めていく考えを社保審企業年金・個人年金部会に示しました。選択制DCと同様、法令解釈通知に盛り込むことを検討します。事業主が掛金を既存に賃金を原資に設定する場合、掛金部分は賃金とみなされなくなり、社会保険料等の算定対象外となるため、保険料が下がる半面、将来受け取る年金額や基本手当額等が下がる影響が考えられます。 ●被用者保険の適用拡大で賃金要件撤廃を了承 厚生労働省の社保審年金部会は昨年 12 月 10 日、被用者保険の適用拡大に向けて月額 8.8 万円以上(年収 106 万円相当)の賃金要件を撤廃することを大筋で了承しました。最低賃金の動向を踏まえつつ、撤廃時期に配慮することも確認されました。また、障害者等の最低賃金の減額の特例対象となる短時間労働者については、任意で被用者保険に加入できることとします。このほか、企業規模要件も撤廃で一致しました。週所定 20 時間以上の労働時間要件を満たせば、被用者保険に加入する仕組みとなります。 <統計・その他> ●労務費上昇を理由とする価格協議に7割応じる 公正取引委員会は昨年 12 月 16 日、令和6年度価格転嫁円滑化に関する調査結果を公表した。それによると、受注者から労務費上昇を理由とした取引価格の引き上げの求めに応じて価格協議をした発注者の割合は、一部を含めて約7割(68.0 %)に及ぶことがわかった。コスト別の転嫁率(受注者の価格転嫁の要請額に対して引き上げられた額の割合)の平均値を見ると、労務費は 62.4 %となり、前年度(45.1 %)から 17.3 ポイント上昇した。調査は 11 万事業者を対象に令和6年6月に実施し、受注者・発注者双方の立場から回答を要請した。 ●65 歳までの雇用確保措置、大企業は 100 %実施 厚生労働省は昨年 12 月 20 日、令和6年高年齢者雇用状況等報告の集計結果を公表しました。それによると、高年齢者雇用安定法で義務づけられている 65 歳までの高年齢者雇用確保措置について、すべての大企業(1万 7,060 社)が実施済みであることがわかりました。前年度から 0.1 ポイント増加した。中小企業(21 万 9,992 社)は 99.9 %が実施済みでした。努力義務をされる 70 歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況は、大企業が前年度から 2.7 ポイント増の 25.5 %、中小企業は同 2.1 ポイント増の 32.4 %でした。集計は、従業員 21 人以上の企業 23 万 7,052 社からの報告に基づき、令和6年6月1日時点の実施状況等をまとめました。 ●障害者雇用数は 21 年連続で過去最高を更新 厚生労働省が昨年 12 月 20 日に公表した令和6年の障害者雇用状況の集計結果によると、民間企業(常用労働者数が 40 人以上の企業 11 万 7,239 社)に雇用されている障害者数は 67 万 7,461.5 人で、前年から 5.5 %増加して 21 年連続で過去最高を更新しました。実雇用率は 2.41 %で前年から 0.08 ポイント上昇し、13 年連続で過去最高を更新しています。しかし、令和6年4月から法定雇用率が 2.5 %(民間企業)に引き上げられた影響もあり、法定雇用率達成企業の割合は 46.0 %で前年(50.1 %)を下回りました。 |