~育児・介護休業法の改正~
 
 男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずることとされました。(令和7年4月1日施行)

改正の概要
<育児関係>
所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(改正前は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、その名称を子の看護等休暇に改めるとともに、対象となる子の範囲を小学校3年生(改正前は小学校就学前)まで拡大する。
 また、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超え(改正前は1000人超え)の事業主に拡大する。

<介護関係>
■労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける
■労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
 
 
 
 
~短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大~
 
1.令和6年10月から短時間労働者の加入要件が拡大され、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者は健康保険・厚生年金保険の加入対象となります。

令和6年9月まで:被保険者数101人以上の企業等」
から
令和6年10月から:被保険者数51人以上の企業等」

<厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等とは>
1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が(※)が51人以上となることが見込まれる企業等のことです。
なお、この企業等のことを「特定適用事業所」といいます。
※法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者の総数、個人事業所の場合は適用事業所単位の被保険者数となります。

2.加入対象者(短時間労働者)の手続き
特定適用事業所に勤務する方で、1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が通常の4分の3未満である方のうち、以下の条件にすべて該当する方が短時間労働者として健康保険・厚生年金保険の加入対象となります。
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8.8万円以上
・2カ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

<参考>
□厚生労働省 社会保険適用拡大 対象となる事業所・従業員について
 
 
 
 
 
~新たな化学物質規制の重要事項~
 
今般、国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼり、その中には、危険性や有害性が不明な物質が多く含まれており、労働安全衛生法(安衛法)やこれに基づく政令・省令などの規制の対象となっていない物質に起因する労働災害も増えています。

そこで、労働安全衛生法施行令(安衛令)、労働安全衛生規則(安衛則)などの大規模な改正が行われ、その主要な改正規定が、令和6年4月1日から施行されることになりました(段階的に施行期日が設定され、すでに施行されている規定もあります)。

=改正の概要=(令和6年4月1日施行)
1.名称等を表示・通知すべき化学物質等の追加
 いわゆる表示対象物、通知対象物として、安衛令別表9に200を超える物質が追加されました。

2.化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任の義務化
 化学物質に係るリスクアセスメントに実施に関すること等の一定の事項を管理させるため「化学物質管理者」の選任の規定が創設されました。また、保護具に係る業務を担当させるため「保護具着用管理責任者」の選任の規定が創設されました。

3.ばく露の程度の低減等の規定の拡充(リスクアセスメント対象物健康診断の創設等)
 リスクアセスメント対象物による健康障害の防止のため、その防止に特化した健康診断(リスクアセスメント対象物健康診断)に関する規定が設けられました。

4.化学物質による労働災害が発生した事業場等における化学物質管理の改善措置の創設
 化学物質による労働災害が発生した等、事業場において化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあるときの化学物質管理の改善措置の仕組みが設けられました。

5.通知事項の追加および含有率表示の適正化
 情報伝達の強化の一環として、通知事項の追加および含有率表示の適正化が図られました。

<参考>
□厚生労働省「労働安全衛生法の新たな化学物質規制」について
 
 
 
 
~育児休業取得状況の公表の義務化~
 
育児休業等の取得の状況として、「男性の育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」を年1回公表することが義務付けられます。取得率の算定期間は、公表を行う日が属する事業年度(会計年度)の直前の事業年度です。自社の公式サイトなど、誰もが閲覧できる形で公表することとなっており、厚生労働省が運営するWEBサイトなど、「両立支援のひろば」の活用も推奨されています。

□厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」