パートタイマーの就業規則はどうする?(2の1)

 
 
 パートタイマーがいる場合に、正社員とは別に、パートタイマーの用の就業規則を作った方がよいのか、と考えた場合にそれぞれ労働条件が異なるのであればそれぞれの就業規則があった方が良いです。
 
 

 パートタイマー就業規則がない


 パートタイマーがいるにもかかわらず、正社員用の就業規則しかない場合には、正社員用の就業規則が、パートタイマーにも適用されることがあります。

 正社員用の就業規則の適用範囲で、「パートタイマーについては別に定めるものにより、この就業規則は適用しない」として、パートタイマーの適用を除外していれば、この正社員用の就業規則は、パートタイマーには適用されません。

 そこで、正社員用の就業規則とは別に、パートタイマー用の就業規則を作成していれば問題はありません。しかし、パートタイマー用の就業規則がない場合は、問題が残ります。
 
 モデル就業規則を利用して作成した場合に、実際には「別に定めるもの」がないケースがあります。「別に定めるもの」として、パートタイマー用の就業規則を別に作って定めないといけません。
 

 パートタイマーに、正社員用の就業規則が適用される


 パートタイマー等も含めて社員数が10人以上になると、労働基準法により、就業規則の作成が義務付けられます。

 パートタイマー用の就業規則がないと、就業規則が適用されない社員が存在するとになります。就業規則が適用されない社員が存在することは違法で許されませんので、結果的に、パートタイマーにも正社員用の就業規則が適用されることになります。

 もしくは、パートタイマーに正社員用の就業規則を適用しないとすると、就業規則が適用されない社員が存在することになって、就業規則の作成義務違反になります。
 

 パートタイマーと労働契約を交わしていたとしても


 労働基準法(第92条、第93条)により、➀労働基準法、②労働協約
(労働組合のある会社)、③就業規則、④労働契約、の順に効力が弱くなります。

 つまり、労働基準法に違反する就業規則は無効になって、労働基準法が適用されます。同様に、就業規則に定める基準に達しない労働契約は無効になって、就業規則で定める基準が適用されます。

 例えば、正社員用の就業規則に退職金を支払うという規定(退職金規程)があったとします。そしてパートタイマーと個別に交わした労働契約(「雇用契約書」や「労働条件通知書」)に、「退職金は支給しない」と記載していたとします。

 このときに、パートタイマー用の就業規則がないと、正社員用の就業規則(退職金規程)が適用され、退職金を支払わされることもあります。採用時に、退職金がないことをパートタイマーが承知していたとしても関係なく、法律優先となります。

 このような取り扱いは、退職金だけではありません。パートタイマー用の就業規則がない場合、休職の適用や賞与の支払い等に関して、正社員と同じ処遇を求められることも出てきます。