就業規則に関する法規制、就業規則策定の手続きについて、基本的なところを述べていきます。
1 就業規則の作成および届出が義務付けられる使用者 |
労基法89条は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に、「就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない」と規定し、刑事罰(30万円以下の罰金))を科しています(労基法120条1号)。そこで、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」とは、具体的にどのような使用者なのかを簡単に説明していきます。 |
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(1)常時とは? 「常時」とは、常態としてという意味であり、雇用契約を締結している従業員が常時9人ではあるけれども、繁忙期に2人程度を新たに雇い入れ、一時的に10人を超える場合には、「常時j10人以上」には該当しません。逆に、雇用契約を締結している従業員が常時10人であるが、退職等により、一時的に9人となったとしても、 この場合は、「常時10人以上」に該当することになります。 (2)労働者の範囲は? 労働者については、雇用形態の如何を問うものではなく、使用者と雇用契約を締結している者全てを含みますので、正社員だけでなく、契約社員、パートタイマーも含まれます。例えば、正社員が5人、契約社員が4人、パートタイマーが1人であった場合には、合計10人ですので、就業規則の作成および届出が義務付けられることになります。 なお、受け入れている派遣労働者は、この労働者の数には入りませんので、例えば、正社員が5人の事業場で派遣社員を6人受け入れている場合には、就業規則の作成および届出は義務付けられないということになります。 (3)10人以上は使用者ごとか、事業場ごとか 10人以上かどうかは、使用者全体としてみるものではなく、事業場単位でカウントされることになります。 したがって、、A事業場には7名の正社員、B事業場には5人の正社員がいる会社では、事業場ごとに見た場合、いずらも常時10人以上とはいえないので、就業規則の作成および届出が義務付けられていないということになります。 また、A事業場には12人の正社員、B事業場には5人の正社員がいる会社では、A事業場については、就業規則の作成および届出が義務付けられることになりますが、B事業場については、義務付けられないということになります。 なお、事業場とは、工場、鉱山、事務所、各店舗の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいい、したがって、一の事業場であるかは否かは、主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として一の事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場とする。ただし、同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業場とする。また、場所的に分散しているものであっても、出張所、支店等で規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力等を勘案して、一の事業場という程度の独立性がないものについては直近上位の機構と一括して一の事業場として取り扱うとされています。 |
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