就業規則の作成手順③

 

 3.労働基準監督署長への届出


1.届出手続

 使用者は、遅滞なく、就業規則に過半数労働組合または過半数代表者の意見を記載した書面を添付して、当該事業場を管轄する労働基準監督署長宛に届け出なければなりません(労働基準法第89条第1項、第90条第2項、労規則第49条第1項)。
 そして、届け出る就業規則については、書面ではなく、一定の要件を備えた電子媒体(CDーROM等)でも可能とされていますが(平成25年4月4日基発0404第1号)、届出の際に添付する過半数労働組合または過半数代表者の意見を記載した書面については、書面でなければならず、(労働基準法第90条第2項)、かつ、代表する者の署名または記名が必要とされています(労基則第49条第2項)。
 もっとも、厚生労働省の電子申請・届出システムを利用することで電子ファイルにより届出を行うことも可能とされています(この場合は、過半数労働組合または過半数代表者の意見を記載した書面については、電子化したもので可能)。
 そして、就業規則から委任を受けた賃金規程その他諸規程についても就業規則の一部ですので、労働基準監督署長宛に届け出る必要があります。

2.書式例
 使用者が就業規則を労働基準監督署長宛届出する場合の書式例は、下のとおりです。

            就業規則(変更)届

                         令和〇年〇月〇日

○○労働基準監督署長 殿

            事業場の所在地 ○県〇市〇町〇丁目〇番〇号
             事業場の名称 ○○○○株式会社△△支店
             使用者の名称 ○○○○株式会社
                    代表取締役 〇 〇 〇 〇

 添付のとおり、弊社の就業規則を制定(変更)しましたので、過半数代表者の意見を添付の上、届出いたします。

                             以 上
 
 

 4.周知


 使用者は、就業規則を常時各作業場に見やすい場合掲示し、または備え付け、あるいは就業規則を交付することのいずれかの方法によって行わなければならないとされています(労働基準法第106条第1項)。
 具体的には、➀常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、②書面を労働者に交付すること、③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置することのいずれかとされています(労基則第52条の2)。
 ここで、留意が必要なのは、➀の「各作業場」です。「事業場」ではなく、「作業場」とされている点です。ここで、「作業場」とは事業場内において密接な関連のもとに作業の行われている個々の現場をいい、主として、建物別等によって判定するとされています(昭和23年4月5日基発535号)。例えば、1つの事業場に建物が2つあった場合には、建物ごとに就業規則を掲示などする必要があります。