●高額療養費見直しを凍結ー石破首相が表明
 石破茂首相は3月7日、高額療養費制度の見直しについて、実施を見合わせる考えを表明しました。8月に予定されていた見直しを含めて、自己負担限度額の引き上げを凍結する方針です。今秋までに改めて検討し、対応を決定します。高額療養費制度については、制度の役割を維持しつつ、現役世代の保険料負担の軽減を図る観点から、10 %を基本に上限額の引き上げ及び所得区分の細分化を予定していましたが、患者団体からの要望を受け、多数回該当の場合は現状の自己負担限度額を維持するなど、予算案の修正を伴う政府案の見直しで合意しました。予算案は3月4日に衆議院で可決されていましたが、一転して凍結となりました。
 
●令和6年度介護職基本給は 1.1 万円(4.6 %)増
 厚生労働省は3月 18 日、令和6年度介護従業者処遇状況等調査結果を公表しました。介護報酬で介護職員等処遇改善加算を取得している施設・事業所における介護職員の基本給は 25 万 3,810 円でした。令和5年度と比較すると1万 1,130 円(4.6 %)増加していました。また、手当や一時金を含む平均給与額は 33 万 8,200 円で1万 3,960 円(4.3 %)の増加となりました。調査は1万 3,801 施設等を対象に実施し、8,180 施設等から回答を得ました。
 
●平均余命や出生数が推計下回るー公的年金財政状況
 厚生労働省は3月 27 日、令和5年度の公的年金財政状況報告を公表しました。制度全体の財政状況は、運用損益分を除いた収入総額 54.4 兆円、支出総額 54.5 兆円、単年度収支残は 0.1 兆円のマイナス、時価ベースの運用損益は 53.6 兆円のプラスとなり、年度末積立金 304 兆円となりました。他方、国民年金第1号被保険者数は令和元年度の財政検証の見直しを下回り、厚生年金被保険者数は上回る状況を確認しました。また、65 歳の平均余命や合計特殊出生率は平成 29 年推計を下回る水準で推移していることなどが確認されました。同省は、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきと強調しています。