<労働基準>
●非常勤講師の無期転換認めずー最高裁
 大学の非常勤講師として勤務していた者が労働契約法の無期転換ルールの特例(10 年)の対象とされる教員任期法の「教育研究組織の職」に該当するか否かが争われた訴訟で、最高裁判所第一小法廷は 10 月 31 日、特例の適用を認めず、無期労働契約が締結されたとして地位確認及び賃金等の支払請求の一部を認容した高裁判決を破棄し、審理を差し戻しました。最高裁は、多様な人材の受け入れを図り、教育研究の進展に寄与するも目的から、教員の任期等について大学等の実情を踏まえた判断を尊重する教員任期法の趣旨を重視しました。本件の非常勤講師の職務内容に着目し、研究に側面は乏しいことなどから「教育研究組織の職」に当たらないと厳格に解する高裁判決は、相当でないと指摘しました。
 
●副業・兼業、割増賃金に通算しない改正求める
 厚生労働省の労働基準関係法制研究会は 11 月 12 日、報告書の骨子案を示しました。副業・兼業の促進に関しては、労働者の健康確保の観点から本業と副業先の労働時間を通算する仕組みは維持しつつ、割増賃金の支払いに関しては通算しない制度改正を求めました。他方、労災認定基準で心理的負荷の1つと評価される2週間以上の連続勤務を防ぐため、法定休日の特定や 13  日を超える連続勤務の禁止を労働基準法に規定するよう要請しました。また、企業自らが従業員の時間外・休日労働の実態を情報開示する仕組みの導入も望ましいと提案しました。
 
<雇用>
●技能実習生の転籍、やむを得ない事情を明確化
 厚生労働省と出入国在留管理庁は 11 月1日、技能実習制度運用要領を改正し、技能実習生に転籍を認め得るやむを得ない事情の具体例を明記しました。違法な時間外労働、賃金不払いなどの労働基準関係法令違反のほか、ハラスメント、トラブル等による信頼関係の修復が困難な場合などが例示されました。これまでも制度上はやむを得ない事情がある場合に転籍が認められていましたが、認め得る事情が必ずしも明確になっておらず、運用を改善しました。なお、技能実習制度廃止後に創設される育成就労制度は、やむを得ない事情がある場合のほか、一定の要件の下、本人意向による転籍も認められます。
 
●令和7年度の雇用保険料率は引き下げを検討
 厚生労働省は 11 月 20 日、令和7年度の雇用保険料率に係る財政状況を労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会に報告しました。令和5年度決算時の財政状況から、失業給付の料率(0.8 %)は弾力条項を用いて最大 0.4 %まで引き下げることができる状況にありますが、コロナ禍から回復途上であることなども踏まえ、引き下げは慎重に検討される見込みです。二事業の料率(0.35 %)は維持されます。一方、令和7年度から本則の料率が 0.5 %に引き上げられた育児休業給付の料率は、弾力条項を用いて料率を 0.4 %に据え置く方向で検討されます。