<労働基準>
●職種限定労働者の合意なき配転命令は違法
 職種限定の労働者に対し、使用者が本人の合意なく実施した他職種への配転命令の可否が争われた訴訟で、最高裁第二小法廷は4月 26 日、労働者の合意のない配転命令は違法だとする初判断を示しました。業務自体が廃止され、配転により労働者の解雇を回避する業務上の必要性を重視した高裁判決を破棄した形です。損害賠償請求の審理をさせるため差し戻しました。最高裁は「労働者と使用者との間に職種や業務内容を特定のものに限定する旨の合意がある場合には、使用者は、労働者の個別的同意なしに合意に反する配置転換を命ずる権限を有しない」と指摘しました。労使間の合意を重視する判断を示しました。
 
●労働者以外の者の保護措置、事業者に義務化へ
 厚生労働省は4月 30 日、危険個所等で事業者が講じる保護措置の対象を労働者以外の者にも拡大する労働安全衛生規則等の一部を改正する省令を公布しました。令和7年4月から施行します。危険個所への立入禁止等、火気使用禁止、悪天候時の作業禁止、事故発生時の退避など、労働者の安全確保のため事業者に義務づけられている措置の対象範囲を同じ場所にいる労働者以外の者(一人親方、他社の労働者、資材搬入業者、警備員等)にも拡大します。同様に保護具等を使用させる義務がある危険個所等において、事業者が一人親方等に作業を請負わせる場合、その周知を義務づけます。