<労働基準>
●希望するフリーランスの労災加入に向け審議開始
 厚生労働省は 10 月4日、労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会を開催し、フリーランスに対する労災保険の特別加入制度の対象範囲拡大について審議を開始しました。フリーランス法の国会審議における附帯決議等では、希望するすべてのフリーランスが加入できるよう検討が求められていて、同省は労政審の審議を踏まえ必要な法令改正を行う考えです。論点となるのは加入対象業務の範囲、既存の特別加入対象業務との関係、保険料率の設定などです。また、短期間の業務委託契約の締結・満了を繰り返していくフリーランスの場合、労災保険への加入・脱退を繰り返すことも考えられますが、どのような制度設計とするか、そのあり方も検討が必要です。
 
●守る・支える視点から働く人の法規制検討を要請
 厚生労働省は 10 月 20 日、新しい時代の働き方に関する研究会の報告書を公表しました。報告書は経済社会等が変化しても変わらない働く人を「守る」視点と、働く人の自発的な選択と希望の実現を「支える」視点から、具体的な制度設計の考え方を整理しています。働く人の健康確保については、労働時間規制等の重要性を強調する一方で、時間や場所にとらわれない働き方や副業・兼業など、法制定当時では想定されなかった新たな課題への対応を要請しています。また、労働者と類似した働き方をするフリーランスや、オフィスによらない事業を行う者などを念頭に「労働者」「事業」「事業場」等の概念の見直しの必要性にも言及しました。
 
●「年収の壁」対応で配偶者手当見直しの手順示す
 厚生労働省は 10 月 20 日、いわゆる「年収の壁・支援強化パッケージ」の一環として、パートタイムで働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)について見直しの手順等を示した資料等を公表しました。基本的な手順は、➀他社の事例等を参考に見直しの検討に着手、②ヒアリング等から従業員のニーズを踏まえた案を策定、③労使での話し合いを通して見直し案を決定、④決定後の新制度を従業員に丁寧に説明ーーとなりますが、あわせて従業員の納得性を高める取り組みや賃金原資総額の維持、必要な経過措置など見直しの際の留意点も指摘、留意すべき法律や判例なども示しました。