<雇用>
●令和6年1月から雇調金の支給額算定方法見直し
 厚生労働省は9月 22 日、雇用調整助成金の支給額算定方法を令和6年1月から見直す方針を労政審に報告しました。これまでは前年度の雇用保険料の算定基礎となった賃金総額を用いて1日あたりの助成金単価を算定する方法(平均賃金方式)等で算定してきましたが、平均賃金方式を廃止し、実際に支払った休業手当等の総額を用いた算定方式(実費方式)に一本化します。平均賃金方式では算定対象となる賃金に賞与等が含まれますが、休業手当等の算定対象となる賃金には含まれないため、助成額が支給額を上回る超過額が発生しており、会計検査院の令和3年度決算検査報告では改善が求められていました。令和6年1月1日以降を初日とする判定基礎期間より適用します。
 
●特定一般教育訓練の活用状況を労政審に報告
 厚生労働省は 10 月 12 日、令和元年 10 月に創設された雇用保険の特定一般訓練(4割給付)の活用状況を労政審人材開発分科会に報告しました。指定講座数は創設時の 150 講座から令和5年 10 月に 573 講座と 3.8 倍に増加しました。受給者は約8割(82.1 %)が在職者で、受講開始時に在職者であった者の9割以上は受講後も引き続き在職しています。一方、受講開始時に離職者だった者(17.9 %)の半数以上が再就職し、そのうち6割以上が正社員になっている効果も確認されました。こうした状況を踏まえた同省は、リスキリングを後押しできるよう制度の周知を進めるとともに、講座ごとの受講効果等をより詳細に把握できるよう、講座指定要件等の見直しを検討すると表明しました。

●雇用保険の適用拡大、加入希望しない者が上回る
 厚生労働省は 10 月 24 日、労政審職業安定分科会雇用保険部会を開き、雇用保険の適用拡大に向けた議論に着手しました。2028 年度までの実施をめざします。同省によると、週 20 時間未満の労働者は 22 年に 718 万人。7割以上(72.7 %)が女性で、年齢階級別では男女ともに 65 歳以上の割合が最も多いです。ただ、女性は 40 歳~ 64 歳の各階級にも1割程度存在し、あわせて約半数(50.9 %)を占めています。仮に雇用保険の適用基準を週 10 時間以上まで拡大すると最大約 500 万人、週 15 時間以上まで拡大すると約 300 万人の新規適用が見込まれます。しかし、JILPT の調査によると、雇用保険の加入を希望しない者が希望する者を上回っていて、加入したくない理由は「保険料負担があるから」が最も多かったです。