●派遣料金引き上げの要望受けた事業所は約4割
 厚生労働省は 11 月 24 日、令和4年派遣労働者実態調査結果を公表しました。調査は平成 29 年以来5年ぶりに実施したもので、派遣労働者の同一労働同一賃金施行後初めてです。その事業所調査によると、派遣労働者の不合理な待遇差解消のため、派遣元から派遣料金に関する要望があった事業所は約4割(38.0 %)に及び、そのうち求めに応じて派遣料金を上げたことがある事業所は9割以上(91.4 %)になることがわかりました。一方で、求められたものの派遣料金を維持した事業所は2割(20.3 %)でした(複数回答)。調査は5人以上の常用労働者を雇用する事業所約 17,000 ヵ所に実施し、有効回答率は 49.7%でした。
 
●人員確保や物価上昇を背景に賃上げ額が過去最高
 厚生労働省が 11 月 28 日に公表した賃金引き上げ等の実態調査結果によると、令和5年に賃金を引き上げた・引き上げる企業は 89.1 %で前年(85.7 %)を上回るとともに、1人あたりの賃金改定額の平均も 9,437 円と、前年(5,534 円)を大きく上回ったことがわかりました。改定率は 3.2 %で額・率ともに比較可能な 1999 年以降、過去最高です。賃金改定にあたって企業が重視した要素は、企業の業績が 36.6 %(前年比 3.4 ポイント減)に低下する一方で、労働力の確保・定着が 16.1 %(同 4.2 ポイント増)、雇用の維持が 11.6 %(同 0.9 ポイント増)と上昇しています。また、物価の上昇を最も重視した企業も前年の 1.3 %から 7.9 %と急増しました。調査は常用労働者 100 人以上を雇用する企業を対象に実施し、1,901 社の回答を得ました。