●財務省が令和6年度診療報酬マイナス改定を主張
 財務省の財政制度等審議会は 11 月 20 日、令和6年度予算編成等の建議をまとめました。令和6年度診療報酬改定については「マイナス改定が適当」とし、財務省の調査で経営状況が良好とされた診療所の報酬単価引き下げなどを主張しました。具体的には、診療所の経常利益率 8.8 %が全産業やサービス産業平均(3.1~ 3.4 %)と同程度になるよう 5.5 %程度の引き下げを要求しました。これにより保険料負担は年間 2,400 億円程度の軽減が見込まれ、現役世代の保険料率も 0.1 %程度の軽減が見込まれるとしました。診療報酬の改定率は年末の大臣折衝で決定する予定です。
 
●マクロ経済スライドの調整機関一致の試算を説明
 厚生労働省は 11 月 21 日、社会保障審議会年金部会を開き、マクロ経済スライドによる厚生年金(報酬比例部分)と基礎年金の調整機関のズレと、基礎年金の調整期間の長期化に伴う給付水準の大幅な低下への対策として、国民年金と厚生年金の財政を合体して調整終了年度を一致させる試算を説明しました。一致させた場合、 2033 年で調整が終了する見込みです。同省によると、調整期間の一致で報酬比例部分の所得代替率は 1.9 %低下しますが基礎年金は 6.4 %上昇し、基礎年金と報酬比例部分を合わせた全体は 55.6 %と 4.6 %の上昇が見込まれます。マクロ経済スライドは基礎年金及び報酬比例部分それぞれの財政が均衡するまで給付の伸びを抑制するしくみですが、デフレ下では発動せず、特に基礎年金の財政が悪化となります。報酬比例部分は 2025 年で調整が終了する一方、基礎年金は 2046 年まで調整が長期化する試算が示されていました。