<労働基準>
●家事使用人は「60 歳以上の女性」が大半を担う
 厚生労働省は8月1日、労働政策審議会労働条件分科会を開き、令和5年1月に実施した家事使用人に係る実態調査結果を報告しました。それによると、家事使用人は 98.8 %が女性であり、60 歳以上で8割以上(84.8 %)を占めるなど、その大半を「60 歳以上の女性」が担っている実態がわかりました。1日あたりの平均勤務時間は「5時間未満」が 57.4 %を占めますが、一方で1割超(13.2 %)が「10 時間以上」と回答しており、休憩時間は「ない」が 47.1 %と約半数を占めました。調査は全国の家政婦(夫)紹介所に登録された 1,997 人の回答を集計しました。家事使用人は個人家庭と契約して家事等に従事し、雇主の私生活と密着していることから労働基準法の適用除外とされますが、近年は長時間の家事労働等の末に亡くなった事案もあり、加藤勝信厚生労働大臣が令和4年 10 月の会見で実態調査を行う考えを明らかにしていました。
 
●仕事や職業生活でストレス感じる労働者8割以上
 厚生労働省は8月4日、令和4年労働安全衛生調査結果を公表しました。その個人調査によると、現在の仕事や職業生活に関することでストレスを感じる事柄があると回答した労働者が8割以上(82.2 %)に及ぶことがわかりました。その事柄の内容は、仕事の量(36.3 %)、仕事の失敗、責任の発生等(35.9 %)、仕事の質(27.1 %)などが多かったです。事業所調査によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヵ月以上休業または退職した労働者がいた事業所は 13.3 %、退職者がいた事業所は 5.9 %でした。調査は令和4年 10 月末時点の状況について、事業所調査は常用労働者 10 人以上の 8,144 事業所、個人調査はその事業所で働く 7,959 人の回答を集計しました。
 
<雇用>
●令和4年の労働稼働率は 30 %台を回復
 厚生労働省は8月 22 日に公表した令和4年雇用動向調査結果によると、労働稼働率(常用労働者数に占める入離職者数の割合)は 30.2 %となり、前年から 2.3 ポイント上昇したことがわかりました。政府は成長分野産業への労働移動を促していますが、労働移動率にのみに着目すれば、コロナ禍前の水準(令和元年 32.3 %)に戻りつつあります。入職者のうち、転職による入職者に限った転職入職率は 9.7 %となり、前年から 1.0 ポイント上昇しました。転職後の賃金は、前職から増加した者 34.9 %、減少した者が 33.9 %、変わらない者が 29.1 %でした。調査は5人以上の常用労働者を雇用する1万 5,120 事業所を対象に実施しました。