<令和8年7月施行予定の労働・社会保険諸法令等改正事項>
●障害者雇用率引き上げ
 障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられていて、令和6年4月から民間企業は 2.5 %となっています。令和8年7月以降は、これが 2.7 %に引き上げられます。従業員 37.5 人以上(短時間労働者は1人を 0.5 人とアカウント)雇用している民間企業の事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。
 
<令和8年 10 月施行予定の労働・社会保険諸法令等改正事項>
●短時間労働者の被保険者加入支援措置
 被用者保険の適用拡大などに伴い、加入対象となる短時間労働者の就業調整対策として、特例的・時限的に保険料負担を軽減する措置が実施されます。社会保険料は労使折半が原則ですが、この措置の利用を希望する事業主は、事業主の負担割合を増やし、被保険者の負担を軽減できます。事業主が追加負担した分については、その全額を制度全体で支援するしくみです。
 対象となるのは、従業員数 50 人以下の企業などで雇用される短時間労働者であって、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の加入対象となる標準報酬月額が 12.6 万円以下の者です。被保険者の保険料負担の軽減割合は、法令で定められる予定です(表3参照)。事業主単位で最大3年間利用できますが、3年目の軽減割合は半減されます。令和8年 10 月の施行ですが、企業規模要件が 36 人以上に縮小される令和9年 10 月以降、利用が増加すると見込まれます。
 <表3> 標準報酬月額と労使の負担割合
標準報酬月額労働者負担事業主負担
月額8.8万円25/10075/100
月額9.8万円30/10070/100
月額10.4万円36/10064/100
月額11.0万円41/10059/100
月額11.8万円45/10055/100
月額12.6万円48/10052/100
月額13.4万円50/10050/100
 
●第1号被保険者の育児期間の国年保険料免除
 育児期間における国民年金保険料の免除は、1歳になるまでこの子を養育する第1号被保険者の父母すべてを対象とする。フリーランス、自営業、無業者など、第1号被保険者の多様な実態を踏まえ、その期間における就業の有無(休業要件)や所得の状況(所得要件)は問わない。対象となる免除期間は、原則として子を養育することになった日から子が1歳になるまでの最大 12 ヵ月間。産前産後免除が適用される実母の場合は、産後免除期間に引き続く9ヵ月を育児期間免除の対象期間とする。育児期間免除の対象機関における基礎年金額については満額を保障する。
 
●カスタマーハラスメント対策義務化
 労働施策総合推進法の改正により、カスタマーハラスメント(表4参照)を防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務とされます。施行期日は法律の公布日から1年6ヵ月以内の政令で定める日であり、令和8年 10 月1日になる予定です。事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は今後、指針で示される予定ですが、他のハラスメントと同様に、事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置などが想定されています。
 
<表4> カスタマーハラスメント(定義)
以下の3つの要素をすべて満たすもの
①顧客、取引先、施設利用者その他利害関係者が行う、
②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、
③労働者の就業環境を害すること
 
●求職者等に対するセクハラ対策義務化
 男女雇用機会均等法の改正により、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務とされます。施行期日はカスハラ対策義務化と同様で、令和8年 10 月1日になる見通しです。同じく事業主が講ずべき具体的な措置の内容等についても今後、指針で示されることになっています。求職者等の範囲は、就職活動中の学生、一般の求職者のほか、省令においてOB・OG訪問や説明会等の参加者、教育実習や看護実習等の受講者などを想定した規定が定められます。求職活動等の範囲については、指針で考え方や具体例が示される予定です。
 
●プラチナえるぼ認定制度の見直し
 女性活躍の推進に関する取り組みが優良な事業主に対する「プラチナえるぼし」の認定要件に、求職者等に対するセクハラ防止に係る措置の内容を公表していることを追加します。